ピザハットのお姉さんは天使だった
そうあれは、忘れもしない猛吹雪の夜だった。
彼女と僕は仕事から帰ってきて、
外は猛吹雪、外出するのはやめておこうということで、
ピザを注文したのだった。
猛吹雪だから、
ピザの配達は少しくらい遅れてもいいと思っていたが、
15分くらいでチャイムが鳴った。
ドアを開けると、
雪まみれでぶるぶる震えながらも、
満面の笑顔で
「ご注文のピザをお届けに来ました。代金は○○円です。」
僕は驚いた。
女性だったのだ。
こんな猛吹雪に運転して、
しかも満面の笑顔で商品を渡すお姉さんは天使に見えた。
そのあと、商品のピザが入ってる箱を開くと、温かいぬくもりが広がった。
それと同時にピザのチーズが焦げるあの何とも言えない匂いが広がり、
食欲が爆発した。
彼女とピザを取り合いになりながらも、頬張ると、
口の中には焼き立てのパリパリ感と
チーズが伸びて口に広がり
至福の瞬間が訪れたのだった。
ピザハットのお姉さんは、自分がブルブル震えながらも
あの猛吹雪の中、商品を守り、
最高の状態を維持しようと努めたのだと思ったら、
感謝と同時に本物のプロだと思い知ったのだった。
そうそれは、
クリスマスの夜だというのに。
どうかあのお姉さんには神のご加護があらんこと
と無宗教家である僕は思ったのだった。
その出来事以降、
僕は雪の降るクリスマスになるたびに、
あの天使の笑顔と
ピザを食べたときの至福のひと時が
思い出されるのであった。